墓じまいと改葬にかかる費用相場|払えないときの対処法も紹介

20年7月13日 公開 更新
監修:終活カウンセラー竹田 繁紀

「お墓を管理できない」「遠方でなかなかお墓参りができない」など、様々な事情により墓じまいを検討する方が多くいらっしゃいます。
しかし、実際に墓じまいを行うにあたっては、どれだけの費用がかかるかが気になるところですよね。

今回は、墓じまいにかかる費用の相場や改葬先別の費用について解説します。
墓じまいの費用が払えない場合の対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

墓じまいの手続きにかかる費用相場

墓じまいの手続きにかかる費用相場

墓じまいの手続きにかかる費用には以下のような項目があり、一般的には総額で20万~40万円程度かかると考えられます。

・お墓の解体工事
・開眼供養
・離壇料

墓じまいにかかる費用はお墓の面積や置かれている場所などによって変わるため、20万円以下で済む場合もあれば40万円を超える場合もあります。
ここで示した金額はあくまでも目安と考えておきましょう。

実際にかかる金額を見積もるためには、項目ごとに金額の目安を詳しく見ていくのが一番です。
ここでは、墓じまいにかかる費用の内訳についてそれぞれ解説します。

お墓の解体工事にかかる費用

お墓の解体工事には、1㎡あたり10万円程度の費用がかかります。

お墓の解体工事には、お墓を撤去して墓地を更地にし、墓石を適切な方法で処分するまでが含まれます。

石材店や解体業者に依頼すればお墓の解体は行ってもらえますが、お墓が寺院に置かれている場合は特定の石材店しか許可されないこともあるので注意が必要です。

お墓の区画面積によって解体工事にかかる費用は変わりますし、石材店によっても金額設定に幅があります。
詳細の金額が知りたい場合は石材店に見積もりを依頼しましょう。

石材店に見積もりを依頼し、ご紹介した金額の目安と比較したうえで依頼するか決めることおすすめします。

閉眼供養(魂抜き)のお布施

閉眼供養(魂抜き)にかかる費用の目安は、3万~5万円程度と考えておきましょう。

閉眼供養とは、墓じまいやお墓の移転など(改葬)の際に、これまでのお墓に宿っている仏様の魂を抜き、暮石をただの石に戻すための儀式です。

「閉眼」とは仏様の目を閉じるという意味であり「魂抜き」や「御魂抜き」とも言われています。
閉眼供養はお寺に相談し、僧侶を招いて墓前で行うのが一般的です。

その際に僧侶に対して感謝の気持ちとしてお布施をお渡ししますが、僧侶にお寺まで移動してもらった場合は別途「お車代」として5千円程度お渡しする必要があります。

また、閉眼供養の際には会食をしないことが大半ですが、御膳料(5千円程度)も用意しておくと万全でしょう。

寺院管理のお墓なら離檀料も必要

墓じまいするお墓が寺院墓地の場合は、離檀料が必要です。

離檀とは、お寺が管理している墓地からお墓を撤去し、そのお寺との付き合いをやめることを言います。

そのときにお世話になったお寺へ感謝の気持ちとして渡すお布施のことを、離檀料と呼ぶのです。

離檀料は法要の1~3回分の額が目安だと一般的には言われており、3万~20万円程度が相場だと考えられます。

金額はお寺によって異なり、また、離檀するまでにお寺とどの程度付き合いがあったかによっても変わります。

ただし、離檀料はあくまでも感謝の気持ちを表すものであり、寺院側に金額を指定する権限があるわけではないので、経済事情に応じて無理のない金額を渡すのが一番です。

トラブルを避けるためには、檀家総代や最寄りの石材店などに相談しておくと良いでしょう。

墓じまいで追加料金が発生する場合

お墓の場所や石塔の数によっては墓じまいの費用が高くなることもあるので、事前に確認しておくことが大切です。

お墓の立地が車で近くまで行けない場所だったり山の中にあったりすると、墓石工事代が高くなってしまいます。

墓石を取り除くには、通常小型の重機を使用しますが、重機が入っていけないような場所であれば人力で解体して取り除かなくてはなりません。
その場合、運搬や作業がしにくい場所や時間がかかる場所であれば、その分人手や時間がかかり、費用が加算されてしまうのです。

また、石塔の数によっても金額は変化します。
石塔は様々な大きさのものがあり、重さもあるため、複数ある場合には費用が加算されることもあるのです。

本家のお墓だけでなく隣に分家の墓があったり、夫婦の墓や水子地蔵が建っていたりする場合などは、通常よりも費用が高くなると考えられるでしょう。

墓じまい後の納骨先によって異なる改葬費用

墓じまい後の納骨先によって異なる改葬費用

改葬費用は、墓じまい後の納骨先によって大きく異なります。
主な改葬先は以下のようなところです。

<墓じまい後の主な改葬先>
・新しく建てた個別墓
・永代供養墓<納骨堂>
・永代供養墓<樹木葬>
・永代供養墓<合祀墓>
・散骨
・手元供養

ここでは、それぞれの改葬先の特徴や費用相場について詳しく解説します。

新しく建てた個別墓

新しく建てた個別墓に改葬する場合、墓石の大きさによっても費用は異なるものの、費用の目安は100万~300万円程度です。
費用は高いですが、故人を他人のご遺骨とは別に埋葬することができる点は大きなメリットと言えるでしょう。
また、故人ひとりだけでなく、夫婦墓や家族墓といった形で一緒に埋葬される方を選ぶこともできる点も個別墓における魅力のひとつです。

永代供養墓<納骨堂>

永代供養墓(納骨堂)に改葬する場合、20万~150万円程度が相場と言えるでしょう。

納骨堂とは屋内型の納骨施設であり、仏壇型やロッカー型など様々なタイプがあります。
屋内にご遺骨を置いて置けるため風雨にさらされることがなく、管理にかかる手間がかからない点が大きなメリットです。
また、お墓参りの予定が天候に左右されることもなく、アクセスの良いところにある場合も多いため、利便性が高いと言えるでしょう。

永代供養墓<樹木葬>

永代供養墓(樹木葬)に改葬する場合、10万~100万円程度が費用の目安です。

樹木葬とは石ではなく樹木を墓標に使用した埋葬方法であり、墓石に抵抗がある方やエコ志向の方に喜ばれる方法となっています。

宗派や宗旨を問わずに利用でき、費用も抑えることができる点がメリットだと言えるでしょう。
自然の里山を活用した里山型や、市街地の霊園や寺院で行われる霊園型などは、樹木葬の中でもリーズナブルです。
「自然に還る」とのイメージから樹木葬を好む方も多くいらっしゃいます。

永代供養墓<合祀墓>

永代供養墓(合祀墓)に改葬した場合、5万~30万円程度が費用の目安です。

合祀墓とは、一つの大きいお墓の下に複数の遺骨を一緒に埋葬するお墓のことを言います。

霊園の管理者が管理をしてくれるため、お墓の管理をしてくれる祭祀継承者がいない場合でも無縁仏になる心配がありません。
無宗派でも申し込めますし、お墓参りができるので、多くの人におすすめできる方法だと言えるでしょう。

散骨

散骨した場合、数万~30万円程度が相場だと言えます。

散骨とは山や海、川に遺骨を撒くことで、散骨業者に依頼することで実施可能です。
散骨業者に依頼する費用や交通費だけで済み、その後の維持費がかからないのが大きなメリットだと言えます。

散骨後は「お墓を守る」という必要がなくなるため、遺族が居住地を自由に選べる点もメリットです。
海に散骨する海洋散骨がポピュラーであり、故人が生前海好きだった場合などはおすすめの方法と言えるでしょう。

手元供養

手元供養を選択した場合、数万~10万円程度が費用の目安です。
手元供養とは個人のご遺骨をお墓の中ではなく、骨壺やペンダントなどの形で自分の身近に置いておくことを言います。

お墓参りの手間がかからない点や、お墓の管理をしなくて良い点が大きなメリットです。
ペンダント型などを選べば自分だけの形見として肌身離さず持っていられるため、故人を身近に感じることができるほか、故人が生前行きたかった場所や旅行などに連れて行ってあげることもできます。

墓じまいの費用が払えないときの対処法

墓じまいの費用が払えないときの対処法

これまでご紹介してきた通り、墓じまいには一定の費用がかかりますが、中には墓じまいの費用が払えない事情がある方もいらっしゃいます。

ここでは、墓じまいの費用が払えないときの対処法について3つに整理して解説します。

<墓じまいの費用が払えないときの対処法>
・家族や親戚に相談する
まずできることは、家族や親族に相談することです。
お墓は個人ではなく家族や親族全体で守っていくものなので、自分ひとりで抱え込むことはありません。
兄弟や親族に墓じまいをしようと考えていることを伝え、協力を求めましょう。

・自治体に相談をする
自治体によっては墓じまいの補助金制度を設けていることがあるので、確認してみるのもひとつの方法です。
自治体によって制度の有無や内容は異なるので、まずはご自身の住む地域の自治体に確認をしましょう。
お墓の放置は自治体としても避けたいので、補助金制度の有無に関わらず一度相談してみることをおすすめします。

・メモリアルローンを使う
親族や自治体に確認・相談をしてもお金の工面が難しい場合は、メモリアルローンの使用を検討してみるのもおすすめです。
メモリアルローンとはお墓や葬儀などに関わる費用のために利用できるローンであり、お墓を建てるときに使われることが多いですが、墓じまいの場合にも審査に通る可能性があります。
審査自体は早く、収入が年金だけという場合でも利用できるため、スムーズな契約が期待できるでしょう。

墓じまいの費用負担を減らす方法

墓じまいの費用負担を減らす方法

墓じまいの費用負担を減らすには、次のような方法が考えられます。

<墓じまいの費用負担を減らす方法>
・兄弟や親戚で分けて負担する
お墓の管理は家族や親戚全体に関わる話です。
自分ひとりで全てを負担する必要はないので、兄弟や親戚がいる場合はよく相談し、費用を分担することを考えましょう。

・解体業者は相見積もりを取って比較する
複数のお墓の解体業者に見積もりを依頼して、金額を比較することも大切です。
民営霊園などの場合は墓地の指定業者が決まっていることが多いですが、指定業者がない場合は積極的に相見積もりを取り、比較するようにしましょう。
残念ながら、中には不当に高い費用を請求してくる業者もいるため、ひとつの業者の見積もりだけで決めずに比較することが大切です。

・安い改葬先を選ぶ
墓じまいの費用を抑えるには、安い改葬先を選ぶことも選択肢のひとつです。
散骨や手元供養、樹木葬や納骨堂への改装は比較的安価な方法と言えます。

もちろん改葬先を決めるのに費用だけを理由にするべきではありませんが、親族とよく相談し、様々な要素をトータルで見て検討すると良いでしょう。

墓じまいと改葬にかかる費用相場まとめ

まとめ

墓じまいをする際には、それぞれの工程にどれくらいの費用がかかるのかを理解しておくことが大切です。
もし墓じまいの費用が捻出できそうにない場合は、親族や自治体に相談する、メモリアルローンを組む、なるべく安い改葬先を選ぶなどの工夫が考えられます。

改葬先の選択肢は多様であり、ご自身や親族のお考え、故人の趣味や予算などにより最適な改葬方法を選択するようにしましょう。

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