永代供養とは|メリット・デメリットを解説します

22年12月3日 公開 更新
監修:終活カウンセラー竹田 繁紀

親しい人が亡くなってしまった際はもちろんですが、終活など生きている間に亡くなった後のことを考えるときに、費用や承継者の問題などからお墓が悩みのタネになってしまいがちです。

そんな中でお墓の維持にかかる負担が減らせることや、費用が継承墓よりも少なく済むといった理由で永代供養を選ぶ人も多いでしょう。
今回はお墓の継承者がいない人や、お墓の費用で悩む人に向けて永代供養について解説します。

永代供養とは

永代供養とは

継承墓は古くから先祖代々に伝わり、家族や親せきが墓守として管理をするものですが、永代供養は霊園や寺院といったお墓を管理している人が、これらの人に代わって遺骨およびお墓の管理と供養を代行します。
お盆やお彼岸などに遠方であったり都合が合わなかったりといった理由で、親族によって法要が行えなくても、代わりに永代供養先が合同法要などの形で実施するので安心です。

一度お任せしたら霊園や寺院が存続する限り、供養が続くのは名前のとおりです。
しかし何らかの理由により霊園や寺院がつぶれた場合などは、ほかの墓地などに移されることもありますが、保証がされなくなることもある点には注意が必要です。

永代供養のお墓の種類

永代供養には大きく分けて個別墓と合祀墓があり、それぞれ以下の違いがあります。

・個別墓
これは「個人」「夫婦」「家」などというように、個別の単位で入る人が決められているもののことをいいます。
こちらには納骨堂や一般墓などがあり、一般墓なら継承墓よりサイズは小さめですがデザインや墓石の材質を自分で決めることが可能です。
その一方で室内に構える納骨堂と比較するとどうしても必要になる金額が高くなる傾向にあります。

・合祀墓
一方で合祀墓は継承墓などとは異なり、大型の納骨堂が作られており、その中でまとめて供養が行われる形式です。
負担する金額が比較的少なく済みますが、多くの遺骨がまとめられていますので、あとから故人の遺骨だけを取り出すことはできないことがほとんどです。

永代供養のメリット

永代供養のメリット

永代供養を選ぶメリットには、以下の3つが挙げられます。

・継承墓と比較して値段が安いことが多く、新しいお墓にかかるお金が抑えられ、金銭面で優しい。
・お墓の維持や管理を霊園などに任せられるので、お彼岸などにお参りに行けないときの苦労や負担を減らせる。
・宗旨・宗派に問われることがなく、どんな人でもお墓に入ることができる。

次項でそれぞれのポイントについて詳しく解説しますので、ご参考ください。

お墓の維持・管理の負担が軽くなる

お彼岸やお盆だけお参りに行く、という人でもきちんとお参りをするのは手間がかかるものです。
距離が離れているとお墓の維持・管理をするだけで交通費や時間などの負担は否めません。
また、ここ近年のコロナ禍の影響で県をまたいだ移動がしにくく、お参りに行けない、といったケースも少なくないのが実情です。

しかし永代供養なら管理者に維持・管理をお任せできるサービスですので、承継者が不在でもこうした心配をせずに済み、負担軽減にもつながります。

一般的なお墓より費用が安い

お墓を建てる場所や、墓石の材質・大きさなどにより差は出ますが、新しくお墓を建てようとするとどうしてもまとまったお金が必要です。
終活などで生前準備をするにしても、こうしたお金の問題がお墓の悩みになることも少なくありません。
永代供養墓では複数のパターンがあり、比較的ローコストで納骨が可能なケースが多い傾向です。

もちろん個別墓・合祀墓でも金額に違いはあり、個別墓だと石の材質やお墓自体のデザインにこだわるなど、自分好みにできる一方でより費用がかかることが多くなります。
それでもサイズが小さめになることもあり、新しく継承墓などを建てるよりはお財布に優しいことが多く、経済的負担を減らすことが可能です。

宗旨や宗派が問われない

お墓でよくあるトラブルでは、宗旨・宗派の思想や考え方が合わず、もめてしまうことが挙げられます。
これは寺院特有のもので、お墓を建て納骨する際に宗派が問われてしまう、ということも少なくありません。
こうしたことから継承墓の場合は、寺院の宗派にもこだわり気を付ける必要があります。

永代供養墓ならこうした問題を気にすることなく納骨が可能で、誰でも利用できるというケースが多いです。
お寺で眠りたいけど宗派などにこだわりたくない、という場合は永代供養を選ぶことでそうした心配をせずに済む、といえます。
一方でここが良い、と考えている寺院がある際は、永代供養墓を設けているかを調べておくことも重要です。

永代供養のデメリット

永代供養のデメリット

永代供養は、継承墓のように自分たちで管理する必要がないため、費用や負担を減らせることが可能な点や、宗派などを気にせずとも納骨ができるといった点が特長です。
一方で、知らないと失敗やトラブルにつながるデメリットがいくつかあります。

たとえば永代供養には、遺骨を取り出せない点や、個別墓でも一定期間が過ぎると多くは合祀墓に入る点などに注意が必要です。
寺院や霊園によって異なるため、詳細は事前に直接確認しましょう。

遺骨を取り出せない場合がある

継承墓は遺骨が骨壺の中に入った状態で納骨されるため、何かトラブルがあった際にあとから遺骨を取り出す必要が出てきても対応は可能です。
しかし合祀墓や最近増加傾向の土にかえるタイプの樹木葬だと、埋葬した後に取り出すことができなくなるため、トラブルが起きることもあります。

これは供養のやり方が原因に挙げられます。
骨壺ごとではなく、遺骨を取り出した状態で安置し供養するため、他の人と混ざってしまいどれが誰の骨だかわからない、という事態が起きてしまうのです。
家族や親せきなど、残された人がいる中でこうした供養の仕方を選んでしまうケースでは、こうしたトラブルを避けるためにも納骨前にきちんと周囲と相談をしたうえで決めることが大切です。

最終的に合祀されることが多い

個別墓であっても安心できるというわけではありません。
個別墓は最初継承墓と同じように遺骨を骨壺ごと納骨、供養する形ですが、このやり方には期限があることがほとんどです。
期限が過ぎてしまうと遺骨は合祀墓へと移され、まとめて供養される形になりますので取り出しもできなくなります。

期限については初期費用を多くかけることで、個別墓での供養期間を長くする契約を結ぶ方法もありますが、経済的な負担が大きくなるというマイナス要素が伴うのです。

周囲の理解が得にくい

最近の永代供養は、新しめの考え方やお墓のタイプのもので、昔は永代供養墓というと、供養塔を表す言葉とされてきました。
供養塔は身寄りがない人や孤独死を迎えた人たちが入るお墓というイメージをもたれていたこともあり、印象は決して良いものではなかったのです。
そのため昔のイメージを持つ人が家族や親せきにいると、理解されにくく、反対されてしまうケースも少なくありません。

中には家族や親せきに相談しないまま購入してしまい、あとで大きなトラブルになってしまうケースもあります。
こうしたトラブルを防ぐのはもちろんですが、お墓に対する考え方は人によってさまざまですので周囲の理解をきちんと得たうえで決めることが重要です。

人数によっては費用が高くなる

継承墓と比較しても費用がかからないことが多い永代供養墓ですが、中には継承墓よりも値段が高くなってしまったという事例もあります。
継承墓の場合は一度お墓を建ててしまえば中に入る人数が増えても、それにより多くの費用がかかってしまうということはありません。

しかし永代供養墓では供養する人数ごとに費用が発生するため、人が増えれば増えるほど費用が倍増してしまうという逆転現象が起きてしまいます。
ひとりやふたりならまだ良いのですが、家族と親せきが同じお墓に入るなど人数が増えることが考えられるときは、ひとり当たりの金額からトータルを出し、どのお墓にすれば経済的に良いのかを考えることが重要です。

永代供養に向いている人

永代供養に向いている人

ここまで永代供養のメリットやデメリットを見てきましたが、今度はどういった人が向いているかを解説します。

・お墓を継いでくれる人がいない
家族や親せきがいない人は、合祀墓を選ぶことで身寄りがいなくても管理者がきちんと管理してくれるためおすすめです。

・お墓の維持・管理は他人に任せたい
コロナ禍やさまざまな問題でお墓参りができないというケースも多く、こうした心配がある人や家族に負担をかけたくない人は永代供養墓が適していると言えるでしょう。

・先祖代々のお墓は特にいらない
親せき縁者がいない場合だけでなく、家の仏壇でお参りができますので先祖代々のお墓はいらないと考える人も増加傾向にあります。
また、個別のお墓は不要でも納骨は必要、と考える人には向いています。

永代供養に向いてない人

永代供養に向いてない人

環境や考え方によっては、永代供養墓を購入するのに向いていないかもしれません。
たとえば以下のような人は永代供養に向いていないでしょう。

・お墓という形で先祖代々の繋がりを大切に考える人
多くの霊園や墓地で見られる継承墓は、その家ならではのお墓であり、永代供養墓のように他人が入ることなく先祖だけがその空間で供養されています。
このような先祖との繋がりを大事にする人は永代供養墓ではなく、きちんと継承墓を維持・管理してつながりを大事にすることが重要でしょう。

・お墓を継ぐ人である、継ぐことを考えている人が身近にいる人
先祖代々の繋がりを大事にするのと同じく、きちんと先祖を供養したい気持ちがある場合は永代供養墓にするのではなく、きちんとした継承墓を建てることが望ましいです。
継ぐことを考えている人が身近にいる場合はきちんと話をしたうえで、供養したい気持ちを確認することで方向が定まります。

大切なのは人の気持ちであることを覚えておこう

大切なのは人の気持ちであることを覚えておこう

永代供養は継承墓よりも費用や負担などが減らせるものの、合祀墓では他人も一緒に供養されるといった問題もあります。
お墓は家族や親せきなど関わる人の気持ちが、まず何よりも重要であることを覚えておくことが大事です。

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